前回のレポートでも尺八のことには触れましたが、前回のレポート提出からもいろいろあり尺八のことをもっと知りたいと思い、今回は尺八の構造について調べてみました。尺八は三味線・箏と並んで三曲の一つで、また、日本の有名な伝統楽器の1つですが、意外にも世間によく知られていない楽器でもあります。横山勝也氏の「尺八楽の魅力」を参考文献として読んだ中、音大生への講義でおよそ八十人いるクラスで箏の弦の数を答えられたのは四・五人、尺八の孔の数を答えられたのはわずか二・三人だったとのことです。小・中学校での音楽教育でも邦楽の鑑賞などはカットされてしまうことも多く、邦楽・邦楽器の知識をほとんど持たずに成長していってしまう子供も珍しくはないのです。話を戻して尺八の孔の数ですが基本は五孔とされています。最近では七孔や九孔のものもあります。とくに現代曲との合奏などにも便利という点で七孔を使用する専門家もいます。尺八は真竹の根に近い部分でつくられており、管の内部は朱か黒の漆塗りで固められているため、音色が滑らかになるようになっているのです。尺八は、篠笛と同じく、さまざまな調子に合わせるための長さの違う十種類のものがあります。一寸長くなると、半音ずつ低くなります。逆に、一寸短くなると、半音ずつ高くなっていきます。音域に関しても篠笛と似ており、違う管を持ちかえることによって広い音域が表現できますが、一つの管で表現できる音というものは限られています。また、強く吹いて演奏した時と、弱く吹いて演奏した時だと音色にも大きく違いが出てきます。この特徴によって表現力をつけることも可能です。尺八の筒音は篠笛などの横笛と違いかなり大きな音を出すこともできます。笛の演奏というとタンギング奏法をパッと思い浮かべますが、尺八は伝統的に舌によるタンギング奏法はしないことになっています。ただし現代曲を演奏するにあたってはタンギング奏法でないと難しいということもあるようです。尺八のヴィブラートは「首振り三年」といわれているように、縦に振ったり、横に振ったり、回したりして作り出す方法がとられています。また、尺八は他の西洋の木管楽器よりも強弱の表現力の豊かさに富んでいます。尺八での技もいろいろとあります。「むらいき」は息音をとくに強調する奏法です。強い息で吹くのでオクターヴ上の音色にも感じられます。ただ鋭い音になっているのであまり使いすぎると音楽としてはいまひとつになってしまいがちです。このむらいきよりさらに息音を強くしたものを「かざいき」といいます。「そらね」はむらいきと同じで強い息で吹きますが、短い音符での場合をさします。「コミ」はスタッカートですが、息で音を切って出す奏法です。「フラッターツンゲ」昔からある奏法で「玉音」といわれてます。ドイツ語のR音の出し方と同じように舌をふるわせての奏法です。この奏法は雑音がはいってしまいます。ただしすべての音に適用できる奏法でもあります。「息ユリ」はフルートのヴィブラートと同じ奏法です。「あごユリ」は尺八を吹いた状態のまま、あごを動かしてのヴィブラートです。このあごユリの中にも種類があります。「よこユリ」はヴィブラートをかけるというだけで音程の変化はみられません。「たてユリ」はあごの動かす度合いによって音程が変わってきます。「まわしユリ」はよこユリとたてユリの混合技でこきざみなゆれから大きなゆれに変化し、またこきざみなものに戻るといったものです。また尺八本体を揺すってのヴィブラート奏法「竹ユリ」というものもあります。「オトシ」は延ばしている音の終わりであごを引いて音をメッタ後止めるものです。「フリ切リ」はオトシと似たものですが、音をメッタ後、すぐもとに戻して止めるというものです。「こぶし」ときくと演歌を思い浮かべますが、これは日本音楽独特の装飾法とされている技法です。このこぶしは楽譜にとくに指定されているわけではなく、演奏者の感性によってある程度自由につけられるものです。「揺る」は孔をふさいでいた指を瞬間的にはなし、すぐまた孔を閉じる奏法です。またそれとまったく逆といった感じの奏法である「打つ」というものもあります。「循環呼吸」現代の演奏法として多くの尺八奏者がマスターしている呼吸法です。楽譜で指定されるものというわけではなく、演奏者側の技術というものになります。尺八の演奏技術として要求されてくるのが手の技術です。指孔のふさぎ方で音程や音量が変わってきてしまうので、あやふやなおさえ方をしてしまうと音楽としてすばらしさが半減されてしまうこともあります。また指孔のふさぎ方を半開にしたりと変えることで微妙な音の変化をつけられ、表現力が広がるのです。尺八も一見すると、西洋の管楽器に比べ、音域が狭く、表現力も乏しいのではという印象を受ける人も少なくないようですが、微妙なニュアンスや音程の変化を演奏家の細やかな技術でつけることが可能な世界の楽器の中でもかなり高水準の能力を秘めた楽器なのです。
参考文献:「日本の楽器法」 著者・三木 稔 1996年10月10日発行
「尺八楽の魅力」 著者・横山 勝也 1985年9月5日発行
計・2102字
主観的説明
今回、本当は参考図書を読んで、鍵盤楽器のことなり踊りの音楽のことなりについて書こうと10月当初は考えていたのですが、10月29日にふつうに音楽学のレポート用とか考えず、趣味で母がチケットを取っていっしょに行ったコンサートがあまりに素晴らしかったもので少し前期のレポートとかぶるかもしれないけどこのコンサートのことをレポートしたいなと思い選びました。それに以前は箏中心でわりと新しい曲といっても現代曲といえるものではありませんでしたし、今思えば、今回初めて現代曲の箏&尺八のコンサートに行ったのでこれはこれで前期とかぶるようでかぶらないのではと勝手に自己解釈しています。それに今サークルで尺八奏者の先輩と合奏したりもするのですが私はあまり尺八のことは知らないなと思いました。
コンサートには学校の帰りに母と春日の駅で待ち合わせて行きました。時間にわりと余裕もあったので夕食も早めにその会場のあるビルの上の階で早めの夕食にしました。コンサート中におなかが鳴るのもかっこわるいですし。会場に入ってみるとやはり私ぐらいの年齢の人は相変わらず少なかったですが、いつも行くようなコンサートよりは若い人が多かったです。みやざきみえこさんも藤原道山さんも伝統楽器を扱いながらもやはり現代の演奏家って感じなのかなと思いました。コンサートが始まると尺八を吹きながら登場してきました。その時の尺八の音量にびっくりしました。本当に迫力といった感じでした。今まで見てきたコンサートでも尺八はものすごい団体さんで出てきたのとかも聴きましたが一人であの音量は本当にすごいですし、なんというかキレのある音という感じが圧倒されました。苦しそうな音というものが一点も感じられなかったので素直に演奏に聴き入ることができたように思えます。そしてみやざきさんの箏での指さばきというものがまた素晴らしかったです。流れる感じでした。ハープに近いような感じが最初の印象としてわいてきました。二人での合奏は澄んだ音という表現が一番しっくりくると思うのですが、その表現力の豊かさに感銘を受けます。プログラムの中に“カバンティーナ”という映画音楽があったのですが、まあ西洋の音楽といえるでしょう。でもそれが見事に箏と尺八で美しく演奏されていて癒しの音楽でした。十七絃と尺八で静かな音楽も奏でれば、みやざきさん作曲の“みつばち”という元気で明るくわりと可愛らしい曲も、同じくみやざきさん作曲の“忙中急行”というテンポの速い曲もそつなく演奏するのです。それはプロの演奏家だからといってしまえばそうなのですが、演奏の感じが偏りやすい癖がある自分としては演奏に癒されて感動している中でもひとしきりすごいな〜、あんな風に演奏できたらな〜と考えていました。今回はみやざきみえこさんと藤原道山さんのコンサートということでいつも見に行っているようないろんな団体さんのものとは違い、いわゆるトークというものも披露してくださいました。二人とも意外としゃべりがおもしろかったのでそこにもびっくりしました。藤原さんのエピソードではNHKの生放送のエンディング曲を依頼されたそうなのですが、最後の残り時間が長いかも短いかもよくわからないのでいろんなバリエーションで曲をつくってきてほしいと言われたそうなのです。たしかに無理難題なのですが、見事生放送終了ぴったりに合わせて演奏を終了できたとのことでした。“空”という曲なのですが、パートに分けて残り時間に合わせて組み替えできるようにつくったそうなのです。すごいなと思いました。演奏会でその空を披露する時はその時その時で違うそうです。そういう曲もあるんだなと初めて知りました。もう一つ、私が二人の話も込みで印象に残っているのがアメリカのツアーのことでした。アメリカでも演奏会をして回ったそうなのですが、専属に一人、通訳さんがいて、その人も会場にいて、いろんな話を聞かせてくれました。それにしてもアメリカの方なのですが日本語が完璧でした。それでも箏のことや尺八のことの説明しているのを訳すのは大変だったそうです。そういえば日本人が海外のヴァイオリンのコンクールで、とかバレエで、とかはよく聞きますがあまり和楽器を外国で弾いて、というエピソードは聞いたことがないように思えます。でも素晴らしい音楽はそこの国の人が聴いても素晴らしい音楽のはずだと思います。だからやっぱりむこうでも大好評だったんだなと思いました。後半の演奏では、“りんごの唄”のカバーや“ルーマニア民族舞曲”というものもありました。今回のコンサートで、和楽器って私達の予想以上に表現力豊かな楽器なのだなと思いました。コンサートが終わり、今回演奏した曲が中心のCDを買い、サイン会もしていたので私もサインしてもらいました。サインしてもらうために並んだのって初めてだったかなと思います。今回は特に“潮流”という曲と“オブリビオン〜忘却”という曲がお気に入りで今でもその買ったCDで毎日聴いています。おかげで西洋音楽への興味がまた遠のいてしまった気もします。今はサークルの影響もあって箏や和楽器の音楽のことで頭がいっぱいになってしまっていますが、いつかまたの機会にも西洋音楽も聴きにいきたいなと今回のコンサートの西洋音楽のカバーの作品を聴いて思いました。
計・2184字